◆1周回って、やっぱりこれ
喧噪の中のバレエ(画像を選択すると拡大します)
>>>西暦が2000年代に入って間もないころ私は、写真業界や一般ユーザーも、フィルムからデジタルに移行して「今後デジタルが主流になってフィルムは衰退するんだな」と個人的に悲しい確証を得た時期だった。ただデジタルの方がコストも安いし便利なのは間違いない。そういう自分もフィルムカメラは使わず、もっぱら当時iPhone3GSを購入しきれいに撮れるデジタル画像と便利さに感動していた。その頃はフィルムの一眼レフカメラではなく、中古で購入したリコーのオートハーフを引っさげて、ほぼノーファインダーでスナップしていた頃だった。しかし自然とオートハーフはアンティークな飾りになってしまった。
今は処分してもうない。デジタルはきれいに撮れるしフィルム代がかからないのも非常に助かったが、何かいまいち納得できなかった。「簡単に、キレイに撮れすぎ」-だった。わざとブレやピントずれ、露出オーバーなどを意識してみたが、何かが違う。レンズやフィルムの個性がない。NGフォトでも味わいがあるのに、デジタルだとすぐ撮影の結果が確認でき、NGフォトを除外もしくは削除してしまう傾向がある。デジタルなので当然か。しかし写真ができるまでの緊張感、できたたときの楽しみも味わえないのも気がかりだった。便利なんだけど。
その頃、私のような人間がたくさんいたのかレトロ調な写真作成ができるアプリがたくさん出てきた。
多少の課金も気にせず、これまでHipstamatic以外に通算50個ほどのいろんな写真加工アプリを試した。素晴らしいものもあり、中には「なんじゃこりゃ」というのもあったがそれはそれで勉強になった。そんな中で最終的に今でも使っているのがHipstamaticだ。これを書いているのが2024年なので、もう10数年使っている。フィルムとレンズ、フラッシュといった組み合わせだけでなくリアルなUI(というのかな)も素晴らしい。購入意欲をまんまと乗せられただけでなく、どのレンズにしようかなと選んでいるときの楽しいひと時もHipstamaticならではと思う。タイパが重要視されている時代に、アナログな手法を時間をかけて楽しむ。カメラ本体にフィルムを装填してレンズを取り付けて、ピントを合わせるといった「カチャカチャする」動作は、ツルツルの液晶画面内で指一本で収まるわけだが、頭の中では「カチャカチャ」しているイメージを忘れない。
当初はあらかじめレンズとフィルム、フラッシュを設定しておいて撮影というものだったが、今はだいぶ進化しているようだ。ノーマルのカメラで撮影したものや、デジカメで撮影したものも「Hipstamaticで編集加工」ができるようになっている。正直に言うと一時期、Hipstamaticに結構課金して多くのギアを購入していたが少し飽きてしまったところがあった。しかし最近(と思う)年間サブスクというのかな、ギアを個別で購入しなくても自由にすべてのレンズ、フィルム、フラッシュを組み合わせて使えることを知った私は、一周回って再びHipstamaticに戻ってきた。しかも何よりうれしいのが(前からあったのかもしれないけど)撮影したレンズやフィルム、フラッシュと加工した各種設定のデータをすぐに確認できることだ。これがあると、この時の色合いはどの組み合わせだったっけと迷わなくていい。とても便利でよりHipstamaticを楽しめるものだと思っている。
Hipstamaticの機能をすべて把握しているわけではない。
英語表記なのでGoogleレンズで翻訳しながら使っている部分もある。よくわからない機能もないわけではない。本来Hipstamaticは、あらかじめレンズやフィルムを設定しておいて撮影するものだと思うけど、私はそう使わない。デジカメやスマホでまずはノーマルで撮影し、愛用のiPadminiでHipstamatic編集を行っている。撮影後にレンズやフィルム、フラッシュを選ぶというフィルムカメラ時代では「わけのわからない」作業でしょうが、いま私はこのように使っている。
撮影後ではあるけれど、Hipstamaticを操作しながら頭の中では「カチャカチャ」カメラをいじくっているイメージでいる。たまに、本当に「カチャカチャ」したくなるのでヤフオクで標準ズーム付き1万ちょいで購入したNikonD70s(600万画素!)と、カメラのキタムラでジャンクで売っていた70-300mm(3500円)で実際の「カチャカチャ」勘が鈍らないようにもしている。
デジタルとアナログ。私は相対するものと思っていない。それぞれで存在しながらも互いに融合しあうものではないかと。Hipstamaticはそれをうまい具合に使える自由で楽しいアプリだ。
【Hipstamaticデータ】
- Janeレンズ
- Rasputinフィルム
この架空のアート(合成です)に対し、「どこで踊ってんねん」「危ないやろ」という大多数なツッコミの中、「どんな中でも自分を貫き、周りに惑わされずに自己を表現する固い意志を感じる」という
見方と考え方。あなたはどういう感想を持ちましたか。
コメントを残す